2017年10月15日

『お嬢様のお気に入り』第一巻 発売中です!

 私が原案を相努めております波津彬子先生の漫画『お嬢様のお気に入り』(小学館から発行されている増刊flowersに連載中)がついにコミックスになりました。

 お嬢様のお気に入り1

 物語の舞台は19世紀後期、ヴィクトリア女王の元、繁栄を極める英国。
 お嬢様のお気に入りは執事の語る怪談?!
 19世紀末イギリス。新興ブルジョワジーのお嬢様キャロラインは、眠れない夜に執事のロバートに物語をねだるがそれは・・・?英国ゴシックホラー華やかで怪しい魅力あふれる第1話~5話を収録。


試し読みもできる公式ページはこちら↓
https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784091398109

 本書の後書きにも書いた通り、この漫画はTwitterでのつぶやきがきっかけになって生まれた作品です。
 私が何気なく書いた「執事怪談」というキーワードを波津先生が拾ってくださり、小学館の編集者さんのご理解を得て企画が実現した上、とうとうこんな立派な一冊になりました。
 感無量でございます。
 
 波津先生は昔から大ファンだった漫画家さんですので、時々ご一緒する機会ができただけでも光栄なことだと思っていたのに、まさか私の考えた話を先生に漫画にしていただけるようになるとは。本当、人生には時々とびきりのサプライズがあるものです。
 それにしても、あの雑なあらすじが、これほど素敵な漫画として花咲くのだから、波津先生ってやっぱりすごい方なのだなあと今更ながら。とにかく、波津先生のおかげで、自分で考えた種とは到底思えないほどおもしろい漫画になっております。どうぞお買上げのほど、よろしくお願いいたします。
 


posted by 門賀美央子 at 16:50| Comment(0) | お知らせです。

2017年10月13日

BIRTHDAY BOYSのライブ・レポ、というより30年越しのファンレター (*注 長いです)

 私がBARBEE BOYSと出会ったのは「なんかかっこいい音楽」を探し求めていた中学生の頃。以来、初聴から30年ほど経った今でも、折りに触れ聴いているバンドのひとつだ(近頃は夜中に呑みながら聴いて、あれこれ思い出に浸る際の触媒になっている)。

 しかし、ライブには行ったことがない。当時、BARBEE BOYSのチケットはプラチナで、チケット発売日に必死に電話しても繋がった頃には「完売です」。それはもう悔しい思いをしたものでした。

 その仇を、10月12日に外苑前のライブハウスで取ってきた。
 とはいえ、BARBEE BOYSのライブではない。BARBEE BOYSのギタリストにしてバンマス、ほとんどの曲の作詞・作曲を担当していたイマサこといまみちともたか氏のバースデー・ライブに行ってきたのだ。
 ライブ情報はFBで見つけたのだが、往時を知る身としてはライブハウスでイマサの演奏を聞けるとかマジか、と目を丸くしたわけである。
 正直に言うと、BARBEE BOYS解散後、元メンバーの活動をそう熱心に追っていたわけではない。ボーカルのKONTAが出たロッキー・ホラー・ショーの舞台を見に行ったり、杏子さんのシングルCD(昔はそういうものがあった)を買ってカラオケで歌ったり、その程度である。もっぱら数年おき、思い出したように旧譜を聴いて、またしばらくしたら聴かなくなって、を繰り返すばかりだった。たぶん、平均的なファン像なんじゃないかと思う。

 そんな体たらくだから、イマサがライブハウスにバンバン出ているなんてことは全く知らなかった。ところが21世紀になって十数年、ロートル・ファンでもSNSでアーティストが直接発信する情報によってライブの開催を知り、浪速の仇を江戸で取れるようになったのだから、ありがたいことである(行きたくて行けなかったのが大阪でのコンサートだった)。

 最近すっかり(物理的にも比喩的にも)重くなった腰をあげてライブに行く気になったのは他でもない。
 いいだけ年を喰って、ようやく「私はBARBEE BOYSの『音』が好きなのだ」と理解するようになっていたからだ。中学生なんて、ファンというのは「人」に対してなるものだとしか思っていない。だから、気に入ったのがサウンドであっても、すぐに「KONATAかっこいい! 杏子さん素敵!」に転ぶ。だが、本当はというと、私は最初からこのバンドの音が好きだったのだ。とりわけ、イマサの色気たっぷりのギターとエンリケの艶のあるベースが。

 さて、私は音楽評論ができるほど音楽にくわしくないので、以下はあくまで「*個人の感想です」である。的外れだったとしても勘弁願いたい。

 私は、BARBEE BOYSは「泣き」のバンドだと思っている。
 すべての音が泣いている。ギターも、ベースも、サックスも、ボーカルも。
 この湿度は、たぶんとても「日本的」だ。
 たとえば、ジャニス・ジョプリンも本質は泣きだが、音自体はもうひとつの本質である「怒り」の熱のせいで水分が蒸発してしまっている。
 それに比べたら、BARBEE BOYSの音は「しっとり」だ。
 旧来の演歌/歌謡曲のようにベトベトではない。
 質のよいなめし革を触った時のような適度な滑らかさ。
 それがBARBEE BOYSの、とりわけイマサのギターの音だと私は思っている。特にカッティングね。あんなに色っぽいカッティングの音って、希少ですよ。
 そして、エンリケのベース。指弾き独特のソフトで艶のある響きは、イマサの泣きのギターと混ざると、なんともいえない大人の音に仕上がる。日本的だけど、演歌系ではなく、J−POPとやらでもない。なんだろう。あるいは、これが80年代の音なのかもしれない。

 とにかく、それが聞きたくて、ライブハウスに足を運んだ。
 思っていた以上に狭い箱で、しかも最前列の右端、イマサの真ん前という席をゲットすることができた。どれぐらい近いかというと暗いライブハウスの床に置かれたセットリストの文字がはっきり読めるぐらい、相撲の砂かぶりのさらに半分ぐらい距離である。
 定刻を15分ほど過ぎて、バックヤードから出てきたイマサとエンリケを見た印象は「かっけーオッサンたちだなー」だった。オッサン呼ばわりとは何たることか、とお怒りになる向きもあろうが、他に言いようが無いのだ。兄貴でもアニキでもおじさんでもおじさまでもない。カタカナのオッサン。このニュアンス、分かる人だけ分かってください。
 なんていうかな。BARBEE BOYS時代のヴィジュアルを中心にして各方向に放たれた線の中で、最良のベクトルの突端にいる感じ。昔の大阪弁を使うと「ほんま、垢抜けてはるわ〜」ってやつ。この時点で、チケット代の元を取った感じがしたものでした。

 そして、始まったライブ。
 実は演奏された曲名はほとんどわかりません。すみません。ファンを名乗る資格なんてありません。でも、旧知の曲じゃなくても、音だけで十分楽しめるライブでした。というか、私は「曲」ではなく「音」を聞きに行ったのだから、それでいいのだ!(開き直り)。いや、曲を聴き込んでいたらもっと楽しめたのは重々承知していますが……。
 ゲストとして出演していたFLYING KIDSの浜崎貴司とイマサが組んだユニットの曲「うまくやれ」とFLYING KIDSのヒット曲「幸せであるように」、そしてBARBEE BOYSのアルバム曲「クラリネット」以外は初聴の曲ばっかりだったのですが、それでも二時間超たっぷり楽しむことができました。
 久方ぶりのライブハウス最前列の爆音は柔くなった私の耳には少々刺激的過ぎたけどの(今も右耳が本調子じゃない)。
 
 長々とよしなしごとを書きましたが、最後に太っ腹ないまみちともたか氏が、自分の誕生日なのにプレゼントを受け取るどころか、音源を来場者全員にプレゼントしてくれたCD「うまくやれ」をオンラインで聞けるリンクを貼っておきます。

 みなさん、聞きましょう! ラジオの音楽番組などにリクエストしましょう! そして「ヒトサライ」の音源を買いましょう! 私ももちろん買いますよ!

いまみちともたか、そして浜崎貴司 / 「うまくやれ」 [ Lyric Video ]


ヒトサライ『ブリキのギター(Goo”D”Morning)』
http://www.hit-au-salai.com/music-video

 ところで、一番意外だったのは、イマサがむちゃくちゃよく喋るっていうことでした。ご本人も「パブリック・イメージは寡黙だけど、でも実は」っておっしゃっていましたけど(笑)。あと、エンリケの手、むちゃくちゃおっきい。あれはほんとにベーシストの手だ。
posted by 門賀美央子 at 21:00| Comment(0) | 行ってきました。

2017年07月02日

山風と怪談(『幽』27号)

 いよいよ夏本番ということで、『幽』の最新刊が出ました。27号です!
 今回の特集テーマは「山田風太郎」。



「山風といえば忍法帖というのが相場ですが、実は怪談に並々ならぬ関心を寄せていたというのはさほど知られていないのでは。ならば専門誌として特集いたしましょう」というのが企画趣旨のようです。
 今回は特集ページにタッチしていないので、私も完全に一読者の立場で読みまして、改めて思ったのはあの変幻自在縦横無尽の物語をものした作家にさえ「難しい」と言わしめる怪談の凄み。
 その辺り、ぜひ本誌でご確認を。

 私はといえば、下記の四本を担当しております。
1.先般話題になった奥野修司さんのルポルタージュ『魂でもいいから、そばにいて ―3・11後の霊体験を聞く―』について著者インタビュー。
2.今号で最終話を迎えた「たそがれの国」の作者・近藤ようこさんに、岩波書店初の漫画単行本という『夢十夜』についてのインタビュー。
3.先日『愚者の毒』で推理小説作家協会賞を受賞した宇佐美まことさんの受賞記念インタビュー(宇佐美まことさんは第一回『幽』怪談文学賞の大賞受賞者です)。
4.第九冊目となる『現代百物語 不実』を上梓した岩井志麻子さんと、ホラーの新星・澤村伊智さんの対談まとめ。

 奥野修司さんはノンフィクション作家であり、また同じノンフィクション作家である工藤美代子さんとは違って怪談にはまったく縁のなかった方。そんな方が霊体験をどのように切り取るのか。怪談誌としては珍しいゲストを迎えたインタビューですので、これは怪談好きにこそぜひ読んでいただきたいなあと思っております。

 近藤ようこさんの『夢十夜』は、夏目漱石の原作の手触りをそのままに、近藤ようこワールドに落とし込んだ名作ですが、それができるまでのあれこれを伺いました。文学を絵で表現する難しさ、楽しさ、たっぷり感じてみてください。

 宇佐美まことさんのインタビューは嬉しいものになりました。第一回『幽』怪談文学賞は幽6号で発表になり、翌年作家デビューされている宇佐美さん、実は私も同じく2007年に専業ライターとなり、第一回受賞者の皆様とはその後も何くれとなくご縁があったものですから、勝手に同期生のように感じておりまして、それだけに受賞の報には我が事のような喜びを感じました。そして、今回聞いた、宇佐美さんの小説家としての覚悟。とくとご覧ください。

 岩井志麻子さんと澤村伊智さんという異色の組み合わせで行われた対談は、相変わらず岩井さんのバズーカが炸裂しまくっていたのですが、驚いたことに澤村さんはそれに怯むこともなく、受け止める時は受け止め、受け流す時は受け流しと、大器の片鱗を垣間見せていらっしゃいました。その雰囲気、少しでも味わっていただけるとよいのですが。

 書評は堤邦彦『絵伝と縁起の近世僧坊文芸』、アダム・カバット『 江戸化物の研究 草双紙に描かれた創作化物の誕生と展開』、大道晴香『「イタコ」の誕生』の三冊を取り上げております。
 共通するのはメディアと怪異イメージ形成の関連。大衆を対象とする口承文学・記載文学、そして映像メディアが日本人の「怪談」にどんな影響を与えてきたか。それぞれ、非常に興味深い論が繰り広げられておりますよ。







 そんなわけで、今号も『幽』をよろしくお願いいたします!




 
posted by 門賀美央子 at 15:28| Comment(0) | こんな記事を書きました。