2018年01月10日

「続き」の難しさ


 先日、封切りになったばかりの「キングスマン2」を見てきました。
 1で積み上げたパターンを逆手に取る手法(いわゆるセルフ・パロディってやつですね)や、びっくりするようなラストがいかにも今時で笑いました。ある意味、ディズニー・プリンセスのパロディですよね、あれ。イギリスらしい皮肉が効いているというか、なんというか。
 そして、同時に、「続き」の難しさをつくづく感じもしました。
 1の印象が強ければ強いほど、後に続く作品が優れていても、なかなか最初と同じカタルシスを得ることはできない。残念ながら、続篇の方がおもしろい作品というのはそう多くはありません。

 でも、昨年末に出た貴志祐介さんの『ミステリークロック』は、少数派に属する作品のように思います。
 詳しくは↓のWEBダ・ヴィンチで書いた原稿をお読みいただくとして。

「完璧な事故」で終わるはずだった女流作家の怪死…『ミステリークロック』
https://ddnavi.com/review/426616/a/

 ガリッガリの機械的トリックなんて、そうそう出てくるものではないと思うんですよ。どうかしたら畢生の一発が出て後は……、みたいな。でも、貴志さんの「防犯探偵・榎本シリーズ」は、全篇がこれ「畢生の一発」レベルなわけです。記事では表題作をメインと取り上げましたが、私が一番好きだったのは「コロッサスの鉤爪」という作品。なんと、海が密室になります。潜水艦とか、そういう話じゃないですよ。とにかく、「海」が密室なんです。
 このシリーズの特徴として、犯人はわりと早々に見当がつきます。貴志さんが、あえてそういう書き方をしているから。でも、犯人がわかったところで、無理なんですよ。どのようにして犯罪が行われたかを解き明かすのは。ヒントはすべて開陳されているし、誰がやったのかもわかる。それなのに、わからない。
「コロッサスの鉤爪」の場合、敵は水圧です。つまり、回避しようがない。絶対不可能。ならば、どうやって? っていうところをひたすら読んでいくのが、このシリーズの楽しみ方というか、自分が先に謎を解いてやろうなんてことを思わせないのがすごい。
 いやあ、本当に参りました。
 久しぶりにパズラーのおもしろさ、堪能しました。

 

posted by 門賀美央子 at 22:45| Comment(0) | こんな記事を書きました。

2018年01月08日

それは、憧れていた青春…… 『ダ・ヴィンチ』2月号

 朝方は晴れていましたが午後から急に曇り空に。夕方からはとうとう振り始めました。私の住んでいる辺りでは今年初の雨です。空気がカラカラだったので、慈雨になるかと。

 さて、ずっとサボっていたせいで、連日お知らせを書かねばならないような状況です。
 一昨日、今年最初の『ダ・ヴィンチ』誌が発売されました。
 
『ダ・ヴィンチ』2月号
 https://ddnavi.com/davinci/
ダ・ヴィンチ1802月号.jpg

 表紙は紅白で審査員を務めていた吉岡里帆さんです。私などは「あさが来た」で演じていた明治のメガネっ娘女学生の印象が強いのですが、その後も様々なドラマやCMで活躍されているのですね。

 そして、今号担当したのは荻原規子さんのインタビュー。
 あの大人気ジュブナイル・ファンタジー『RDG レッドデータガール』の新刊が出たのです。とは言っても、続編ではなく、スピンオフ小説を集めた短篇集ですので、あの結末の後、世界が、そして泉水子と深行の行く末がどうなったのか気になっている方はちょっと「な〜んだ」って気分になるかもしれませんが、それはちょっと待った!
 一番長い書き下ろしの一篇は、本編終了後の三学期を、真響視点で書いた新作です。
 『RDG』のお話そのものは、6巻のラストできれいに収まっていましたが、未解決と言えば言えるのが真響の、泉水子が選んだ裏番体制(笑)に対するわだかまりでした。そこの部分が今回はメインになっています。
  
 それにしても泉水子が通う鳳城学園での学生生活って、なんてキラキラしているんでしょう。ああいう青春らしい青春、チャンスがあるならしてみたかったなあ……。まあ女子校で過ごしたあ〜るの光画部みたいなゆるゆる高校生活も楽しかったんですけど。
『RDG』未読の方は、この機会にぜひ。大人が読んでもおもしろい作品です。いや、ある意味大人の方が楽しめるかも。

 第一特集は漫画、第二特集は佐藤正午さんということで、幅広いみなさんに楽しんでもらえるのではないかと。今号もよろしくお願いいたします。
 
posted by 門賀美央子 at 20:03| Comment(0) | お知らせです。

2018年01月07日

『幽』28号 久しぶりに表紙に名前が載っています。


 今日は七草粥の日ですね。
 皆様、召し上がりましたか? 私は三時のおやつに食べました。
 関東では今日までが松の内ですが、我が家では私暦が採用されているので関西風に15日までは松の内、正月飾りはまだそのままです。

 さて、昨年末のお仕事をもう少しご紹介。
 12月10日に発売されました『幽』28号です。
 今号もライター仕事を含め、色々とやらせてもらっていますが、特に注目してもらえれば思っているのが、「波津彬子×門賀美央子『鏡花夢幻』&『お嬢様のお気に入り』刊行記念特別対談」と「近藤ようこの世界を堪能し尽くすブックガイド『たそがれの市 あの世お伽話』単行本化記念」、そして「新連載 怪談実話◆三人時評」の三記事でございます。

 まず、「波津彬子×門賀美央子『鏡花夢幻』&『お嬢様のお気に入り』刊行記念特別対談」は昨年十月に発売になった波津彬子先生の新刊について、私が聞き手になって伺っている対談で、待望の撰集第一巻『鏡花夢幻』と私が原案を担当している新シリーズ『お嬢様のお気に入り』についてお話いただいております。
 
「近藤ようこの世界を堪能し尽くすブックガイド『たそがれの市 あの世お伽話』単行本化記念」は、幽で連載していた『たそがれの市』の単行本化を記念して、私が独断と偏見でセレクトした近藤ようこ先生の必読本をピックアップ。『美しの首』に収録された「安寿と厨子王」は教科書に載せるレベルかと。日本人なら読まずに死ぬな、です。

 そして、新連載の「三人時評」は、千街晶之さんと朝宮運河さん、そして私で前号から今号までに発売された怪談実話本について、あれこれ言うページであります。
 わりと好き放題言っていますが、根底には混迷を極める怪談実話業界に一石を投じ、よりよい環境が整っていくようにと願っての、いわば老婆心的コーナー。収録は三時間にも及び、掲載できたのはその中のほんの一部の議論にしか過ぎなかったので忸怩たるものはあるのですが、ぜひお読みいただければと思います。

 他にも宇佐美まことさんの新刊『角の生えた帽子』と『死はすぐそこの影の中』について聞いたインタビュー、書評は村上晶さん『巫者のいる日常』と澤田瞳子さん『腐れ梅』を絡めて書きました。

 特集は「山妖海怪奇奇怪怪」と題し、山の怪談と海の怪談を様々な角度から追う記事。恐山レポートや各作家のみなさんのエッセイなど読みどころ満載です。
 乞うご購読!
 
幽28号
https://kadobun.jp/news/173
幽28号
posted by 門賀美央子 at 22:01| Comment(0) | こんな記事を書きました。